• Environment環境

TCFDの提言に沿った情報開示

気候変動は、世界の全てにおける持続的発展の脅威であるとの認識に立ち、
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示等、
気候変動対策に積極的に取り組んでまいります。

ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関する重要事項を適切にマネジメントするために、当社
代表取締役社長を責任者とするサステナビリティ委員会を設置しております。そして、目標とする
指標の決定、推進体制の整備、活動計画の策定及び進捗状況のモニタリングを行ってまいります。これらの結果は、取締役会や経営会議等へ報告し、適切に管理・監督を行ってまいります。

戦略

気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の各報告書、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の世界エネルギー展望(World Energy Outlook)、その他関連情報を参照し、気候変動のリスク及び機会がもたらす組織のビジネス・戦略・財務計画への影響を1.5℃シナリオ(IEAのNZE2050)及び4℃シナリオ(IPCCのRCP8.5)の下で識別しております。また、リスクに関しては移行リスクと物理的リスクに大別してシナリオ分析を行っています。1.5℃シナリオでは移行リスクと機会、4℃シナリオでは物理的リスクのみが対象となっており、移行リスク・機会・物理リスクの3項目を網羅するために2つのシナリオを使用しています。
気候関連のリスク及び機会を識別するにあたっては、上記の通りリスクを移行リスクと物理的リスクに大別したうえで、さらに移行リスクを現行の規制、新たな規制、法規制、技術リスク、市場リスク、評判リスクに、また物理的リスクを急性リスクと慢性リスクに分類しております。機会については、市場、レジリエンス、資源の効率性、エネルギー源、製品・サービスに分類しております。これら分類ごとに、当社グループの調達と売上高に対する財務的影響の大きさを短期(0~1年)、中期(1~3年)、長期(3~10年)の時間軸で定性的に評価・分析し、リスクと機会が組織に与える影響を把握しております。
以下のとおり、1.5℃シナリオでは、新たな政策や技術の導入や市場価格の変動、原材料価格の高騰等による影響が中期から長期にわたって生じ、調達コストの増加や顧客の購買力の低下を通じて財務的なリスクになると認識しております。同時に、低炭素サービスや製品の開発が各企業に求められることに伴い、気候変動に適応した新たな技術やエネルギー開発が進むことから、その点では機会の向上を通じて中期から長期にわたり財務への好影響も生じると認識しております。4℃シナリオでは、自然災害や気温上昇による影響が長期に及び、調達においても販売においても長期的なリスクが生じると認識しております。

シナリオ分析結果(移行リスク・機会:1.5℃シナリオ、
物理的リスク:4℃シナリオ)

リスク・機会 指標 サプライ
チェーン
影響度
(短期)
影響度
(中期)
影響度
(長期)
移行
リスク
現行の規制
  • ・カーボンプライシングの仕組み
  • ・排出量報告義務の強化
  • ・製品・サービスの排出量報告の義務付けと規制
調達
売上
新たな規制
  • ・カーボンプライシングの仕組み
  • ・排出量報告義務の強化
  • ・製品・サービスの排出量報告の義務付けと規制
調達
売上
法規制
  • ・訴訟問題
調達
売上
技術リスク
  • ・低排出製品・サービスへの移行
  • ・新技術への投資失敗
  • ・低排出技術への移行
調達
売上
市場リスク
  • ・顧客行動の変化
  • ・需要の不確実性
調達
売上
  • ・原材料価格の上昇
調達
売上
評判リスク
  • ・消費者の嗜好の変化
  • ・業種・業界への非難
  • ・利害関係者の懸念の高まりまたは否定的な利害関係者のフィードバック
調達
売上
物理的
リスク
急性リスク
  • ・台風、豪雨
  • ・洪水
  • ・熱波
  • ・山火事
調達
売上
慢性リスク
  • ・温度変化(空気・淡水・海水)
  • ・降水パターンと降水の種類の変化(雨・雹・雪)
  • ・海岸浸食
調達
売上
機会 市場
  • ・新市場への参入
  • ・インセンティブ導入
  • ・新たな資産および場所への参入
調達
売上
レジリエンス
  • ・再エネプログラムへの参加及び省エネ対策実施
調達
  • ・再エネプログラムへの参加及び省エネ対策実施
  • ・リソースの代替・多様化
売上
資源の効率性
  • ・効率的な輸送手段の利用
  • ・生産・流通プロセスの効率化
  • ・リサイクルの利用
  • ・効率的な建物への移転
  • ・水の使用量・消費量の削減
調達
売上
エネルギー源
  • ・低排出エネルギー源の利用
  • ・支援的な政策インセンティブの利用
  • ・新技術の活用
  • ・炭素市場への参画
調達
売上
製品・サービス
  • ・低排出製品・サービスの開発及び拡大
  • ・気候適応・レジリエンス・保険リスクへのソリューション開発
  • ・R&D・技術革新を通じた新製品やサービスの開発
  • ・事業活動の多様化
  • ・消費者の嗜好の変化
調達
売上

リスク管理

当社グループでは、気候変動に関わるリスクと機会について、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオの分析結果を基に、サステナビリティ委員会にて詳細な検討を行ってまいります。当社グループにとって重要な気候変動に関わるリスクと機会については、取締役会へ報告を行ってまいります。

指標及び目標

気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標

当社グループでは、「戦略」のシナリオ分析結果に示すとおり、気候関連のリスクと機会ごとに指標を設定し、これら指標の動向を分析して財務に対する影響度を評価しております。例えば、政策・法規制リスクでは、政府によるCO2排出規制の影響を指標とし、規制が強化されて調達コストが大きくなる場合には当社グループの財務に対するマイナスの影響が大きくなると判断しております。また、機会についても、例えば資源の効率性では交通・流通・建物の効率性が向上することの影響を指標とし、仮に効率性が向上して顧客の購買力が伸びると予想されれば、当社グループの財務に好影響をもたらすと評価しております。
温室効果ガス排出量(以下、GHG排出量)は、気候関連のリスク及び機会による財務的影響を測定するうえで重要な指標となります。また、その排出量を炭素価格(カーボンプライシング)貨幣価値に換算し、当社グループの財務に対する影響を分析・把握するよう努めております。炭素価格については、現在日本国内における税や取引制度が導入されていないことから、当社ではJクレジットにおける入札販売価格や欧州連合域内排出量取引制度(European Union Emissions Trading System)における炭素取引価格を参照してインターナルカーボンプライシング(ICP)を行い、CO2排出が財務に与える影響を分析しております。

Scope別のGHG排出量と関連リスク

Scope別の温室効果ガス排出量について、当社グループではGHGプロトコルに基づいて排出量を算定しております。2023年3月期については、主要5社(株式会社タナベコンサルティンググループ、株式会社タナベコンサルティング、株式会社リーディング・ソリューション、グローウィン・パートナーズ株式会社、株式会社ジェイスリー)を対象としてScope別1,2,3の全項目を算定いたしました。GHG排出量実績は、以下のとおりであります。
各Scopeの算定結果については、Scope3の割合が非常に多くなっております。また、Scope3の中でも特にカテゴリ1(購入した製品・サービス)、カテゴリ2(資本財)、カテゴリ6(出張)の排出量が多く、それぞれScope3の83.6%、4.7%、5.4%を占めております。
カテゴリ1は、当社グループの排出量の大部分を占めており、今後炭素税が導入された際、組織の大きな財務リスクになると考えられます。また、カテゴリ1は原材料調達に関わる部分であり、調達コストと直結していることを踏まえれば、GHG排出規制の強化が市場における価格変動と連動し、当社グループの財務リスクとして顕在化する可能性があると認識しております。

気候関連リスク及び機会を管理する目標及び実績

当社グループでは、シナリオ分析において明確化された指標を用いて気候関連のリスクを低減し、機会を最大化するため、気候関連のリスク及び機会の管理に取り組んでおります。また、当社のGHG排出量については、1.5℃水準に配慮し、Scope1と2のGHG排出量を基準年の2021年から2030年までに100%削減することを目標としております。目標達成のためにこれまで行ってきたビルのLED化やDX推進による紙・複合機の削減をさらに進めることでScope2を削減してまいります。また、今後は事業所内での使用電力の中で、再生エネルギー由来の電力の割合を増やすことでScope2の排出量を削減してまいります。そのうえで、削減しきれない排出量については、非化石証書や再生エネルギー由来クレジットを購入することにより、オフセット(相殺)いたします。
Scope3については、調達先への働きかけ等を通じて排出量の削減を進め、カーボンニュートラル実現を目指してまいります。その際、価格ベースの排出原単位を用いたGHG算定方法では、事業規模の拡大と共にGHG排出量が自動的に増加してしまうことから、炭素強度の考え方を参考に売上高に占めるGHG排出量のトレンドから客観的な分析を行う等、算定手法の改善にも努めてまいります。
TCFD TASK FORCE ON CLIMATE-RELATED FINANCIAL DISCLOSURES

Efforts So Farこれまでの取り組み

  • 01

    「アスクル資源循環プラットフォーム」へ参加
    使用済みクリアホルダーの再資源化に貢献

    2022年11月より使用済みクリアホルダーの再資源化・再製品化を目的とした 「アスクル資源循環プラットフォーム」 に参加いたしました。2023年9月までに243kgの使用済みクリアホルダーを提供し、再資源化に貢献することができました。
    「アスクル資源循環プラットフォーム」 の詳細はこちら

  • 02

    大阪本社ビルの緑化の実施

    大阪本社ビルの屋上・1階エントランスの緑化を実施しました。

  • 03

    大阪本社ビルのLED化

    大阪本社ビルの照明をLEDへ切り替えました。

  • 04

    DX推進による紙・複合機の削減

    会議資料のペーパーレス化により、紙の使用量を削減しました。
    合わせて、全事業所*の複合機台数を見直し削減しました。
    • *タナベコンサルティンググループおよびタナベコンサルティングのみ