タナベコンサルティンググループは、経営診断および経営コンサルティングで17,000社以上の実績を持つ。経営診断という価値を中小企業から中堅・大手上場企業にまで展開し、それが経営コンサルティングのスタイルの1つとなった。
高度の専門化と高度の総合化を追究する
タナベコンサルティンググループのスローガンにある「高度の専門化と高度の総合化」というコンセプトを体現するためには、チームである必要があった。病院の診療科目のように、経営における高度な専門性を網羅し、組み合わせることで高度な総合化を実現できるからである。専門コンサルタントが顧客の課題に合わせた最適なチームを組成して、総合的に挑むコンサルティングアプローチ。それが「チームコンサルティング」であり、企業という患者の命を預かり、命を救う、戦略コンサルティングとなる。専門が先で、総合が後。しかし、どちらも高度に融合しなければならない。それが高度の専門化と高度の総合化だ。
実証済みの原理原則という臨床アプローチを大切にする私たちは、「経営診断」と呼ぶコンサルティング手法で多くの企業のコンサルティングを実施してきた。(下記写真は「診断報告書」の保管ラック)そして、創業者の意志は、現在の「チームコンサルティング」スタイルへと受け継がれた。その精神が「すべてはクライアントのために-All for Client Success」であり、それを実現するチームコンサルティングのコンセプトには2つある。まずは「ドメイン×ファンクション×リージョン」コンセプト。「ドメイン」とは業種やビジネスモデル戦略。「ファンクション」とは経営機能。「リージョン」とは地域密着、現地化戦略。これら3つを適合させたチームビルディングである。
もう1つのコンセプトが「規模×症状×課題」である。「規模」とは企業規模であり、小企業から大企業までの組織規模によってコンサルティングメソッドは異なる。「症状」とは黒字か赤字か、増収増益か減収減益か、資産超過か債務超過か、症状によって治療メソッドが異なる。「課題」とは症状を踏まえて導き出した仮説の設定である。戦略、成長マーケティング、収益構造、経営システム、組織デザインなどにおいて、どのような課題が生じているかを見極める。これらのコンセプトを見極めて、専門コンサルタントによるチームが編成される。このチームビルディングメソッドこそが、タナベコンサルティンググループの「チームコンサルティング」である。
クライアントを祭り上げるのではなく、1人の患者を中心に、各専門医が全体最適で臨床アプローチを実施できること、すなわち治療していくことが「すべてはクライアントのために」という精神の本質である。
経営診断からチームコンサルティングへのメソッドが確立した2016年には「チームコンサルティングブランディングブック」を製作。その中で「チームコンサルティング7つの約束」をまとめた。これがタナベコンサルティンググループのクオリティー基準となっている。
経営診断書庫(※3000冊以上の経営診断報告書)。現在はデジタル保管している。
「経営ドック」と
「幹部候補生スクール」の誕生
経営コンサルティングにおける長期契約スタイルは、「経営ドック」というコンサルティングメソッドから拡大した。1971年に開発された経営ドックとは、中堅・中小企業を支援する中で積み重ねた問題の核心を突く新しい経営ノウハウを体系化したものである。「知る」=現状認識、「選ぶ」=価値判断の基準づくり、「行動する」=突破口づくり、の3つのステップから経営を総点検して対策を立案する。それは事実から出発し、現象に惑わされず、問題の核心をつくという、まさに「人間ドック」の会社版であった。「現状認識」「一言集約」「問題の本質」「原点づくり」「突破口」など、外資系コンサルティングファームと時を同じくして、多くの独創的な手法を生み出した。その展開のノウハウを体系的に型決めし、企業の診断と改善、実施に応用してきたのである。
それらは幹部教育にも応用され、1972年に九州支社(現在の九州本部)で開講されたのが「幹部候補生スクール」である。本質をつかむ能力を身に付けるために「知る」「選ぶ」「行動する」の基本サイクル(コンサルティングメソッド)を7回にわたって学習するスクールだ。以降は全国展開され、今日まで日本で最大級の修了生数(約2万8000名)を誇るマネジャー向けセミナーへと広がっていった。